無痛分娩について ー最近の報道に不安を感じている方へー 2017.5.23
無痛分娩について不安を煽るような報道が複数なされています。
妊婦さんの死亡と関連性がないと強く推察されるケースでも、あたかも無痛分娩が原因と誤解させるような記事が散見されます。
当院開院以来、約2年間の約400件と少ないデータですが無痛分娩で死亡事故はゼロ、無痛分娩が原因で重大な合併症が起きておりません。
多くの論文を集めて分析している国際的団体であるCochranの2012年の無痛分娩に関する報告に、母体死亡率上昇は記されておりません。
しかしながら無痛分娩に危険は伴います。命にかかわるような合併症もあります。
・麻酔薬のくも膜下腔への迷入;硬膜外腔より麻酔が広がりやすく、呼吸停止、血圧低下などにつながる場合があります。
・麻酔薬の血管内迷入;局所麻酔中毒、重症になるとけいれん、呼吸停止、心停止を引き起こす場合があります。
・アナフィラキシーショック;重症のアレルギーで呼吸困難、血圧低下を引き起こす場合があります。
アナフィラキシーショック以外は、麻酔薬注入時の適切な確認により、ほとんどが防ぐことが可能です。アナフィラキシーショックに関しても緊急対応法が広く知られております。
医療に100%はありません。これらを完全に防げるか・助けることができるかというと難しい部分もありますが、100%に近づけるよう、安全確保の仕組み構築とスタッフ教育に努めております。
今後も正しい情報をお伝えできるよう努めて参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
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